基調講演「電波科学による防災・減災への取り組み」

レーダは自然災害に対して、防災、減災、更に災害からの復興など、さまざまな局面で有用な技術です。また偏波利用、近距離レーダなど学術的に新しい研究が進められています。本講演では地滑りを事前に察知するGB-SAR技術、災害被災者を迅速に捜索する地中レーダ、家屋の耐震診断のためのセンサ開発など防災・減災への応用を具体的に実践してきた立場からレーダ技術を展望します。

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基調講演「SIP策定の狙いとその概要」

「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」は、総合科学技術・イノベーション会議が先頭に立ち、府省が一体となって、産学連携の下、基礎研究から出口(実用化・事業化)までを見据えて、研究開発のみならず制度的課題の解決にも一体的に取り組むという、これまでにない新たな試みであり、10個の課題と10名のプログラムディレクターを選定し、本年度より開始された。講演ではその概要とそのうち1つの課題である「レリジエントな防災・減災機能の強化」の取り組みについて紹介する。

レーダを利用した豪雨・竜巻予測法の開発

情報通信研究機構は2012年にフェーズドアレイ気象レーダを開発しました。これレーダは単偏波ながら高速三次元観測実現しました(従来のレーダに比べて10倍程度高速)。また、2014年からは内閣府イノベーション創造プログラム(SIP)において二重偏波のフェーズドアレイレーダの開発に取り組み、高精度・高速三次元観測を実現することにより突発的豪雨等の早期検知・予測に役立てる計画です。

洪水・浸水予測の高精度化と活用

近年、集中豪雨や局所的な大雨(いわゆるゲリラ豪雨)による水災害が頻発しています。こうした水災害に対し、どこにいても避難を可能とするため、リアルタイムかつ居場所に応じた水災害情報を提供するための洪水・浸水予測の高精度化について検討を進めています。

MPフェーズドアレイレーダの利用方法

戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)課題「レジリエントな防災・減災機能の強化」の「豪雨・竜巻予測技術の研究開発」の中で、局地的大雨や竜巻を引き起こす積乱雲の発達機構の理解と早期予測手法の開発に取り組んでいます。特に、新たに開発されるマルチパラメータフェーズドアレイレーダ(MP-PAR)のデータを利用した予測手法について紹介します。

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鉄道におけるハザードマップ作成手法と運転規制判断支援システムの開発

鉄道事業者は豪雨や強風、豪雪等の気象災害に対して、その可能性のある箇所を事前に把握して防災設備を設置したり、気象現象を観測して災害の危険性が高まった時に列車の運行を規制したりして安全を確保しています。ここでは、これまで鉄道総研が取り組んできたハザードマップの作成手法と今年度からSIPで取り組んでいるレーダデータを活用した逐次更新型のハザードマップと運転規制判断支援システムの開発について紹介します。

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災害情報の配信技術の研究開発

この研究開発では、災害時の過酷な環境下にあっても、住民等および災害対策関係機関間における通信の確保に資する「通信・放送の多様な情報メディア群を活用した災害情報配信」、「情報弱者等にも対応した災害情報コンテンツの自動生成」、「被災地域の災害対策本部等と被災現場間の通信の確保」などの技術を開発し、実証実験を通じて国内外への普及を目指します。

火山観測における航空機SAR

昨年9月末に突如として活動開始し、多くの登山者の命を奪った御嶽山の噴火は、火山災害がごく身近にあることを改めて認識させられました。火山活動は噴煙を伴うことや山地には雲がかかりやすいため、噴煙や雲を透過して地上を観測できる合成開口レーダ(SAR)は火山の現況や変化を知るのに大変有用です。本講演では、NICTが開発した航空機SAR(Pi-SAR2)による火山観測の実例と課題についてお話しします。

航空機搭載SARの実用化に向けた取り組みについて

豪雨・火山噴火等の災害発生時には、昼夜・天候を問わず、迅速かつ正確な状況把握が重要です。現在、総務省殿からの委託業務として、「小型航空機搭載用高分解能合成開口レーダーの研究開発」に取り組んでいます。本講演では、その航空機搭載SARについてご紹介すると共に、どのような活躍が期待できるかについて、取得したSAR画像を交えてお話しします。

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気象研究所における火山研究 -火山現象のメカニズム解明と噴火予測に向けて-

気象研究所火山研究部では、気象庁の噴火予警報業務の高度化に資するため、火山現象の即時的把握や予測技術の高度化を目指した研究を行っています。本講演ではこれらの取り組みを紹介するとともに、昨年9月に発生した御嶽山の噴火に関し、これまでに分かった全体像や水蒸気噴火のメカニズム解明に向けた取り組みも併せて紹介します。

PDF(講演資料:7.18 MB)

開催日時

2015年2月6日(金)午前10時30分から午後4時35分

開催場所

パシフィコ横浜 アネックスホール F205

〒220-0012 横浜市西区みなとみらい1-1-1

交通案内http://www.pacifico.co.jp/visitor/accessmap.html

みなとみらい線
「みなとみらい」駅より徒歩3分
JR線・市営地下鉄
「桜木町」駅より徒歩12分、バスで7分、タクシーで5分

開催趣旨

本シンポジウムでは、災害対策・危機管理の推進のため、自然災害の予測と被害観測技術として、「レーダを利用した雨・竜巻予測技術」と「火山噴煙観測へのレーダの利用」、「噴火時の火山観測が可能な航空機搭載合成開口レーダ」、「被災後の建造物の状態を非破壊で調査する技術」についての研究の現状と今後についての講演を行います。
さらに、災害関連情報の共有と利活用を推進し、災害対応力の向上をめざした「災害情報の配信技術の研究開発」について計画と現状についての講演を行います。

独立行政法人 情報通信研究機構

第19回震災対策技術展横浜

講演会プログラム

10:30 ~ 10:35主催者挨拶津田 敏隆次世代安心・安全ICTフォーラム センシング技術部会長
10:35 ~ 10:40来賓挨拶荻原 直彦総務省 情報通信国際戦略局 技術政策課 研究推進室 室長
10:40 ~ 11:40基調講演「電波科学による防災・減災への取り組み」佐藤 源之東北大学 東北アジア研究センター 教授
11:40 ~ 12:40昼食  
12:40 ~ 13:00基調講演「SIP策定の狙いとその概要」西條 正明内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付参事官(戦略的イノベーション創造プログラム担当)
13:00 ~ 13:30レーダを利用した豪雨・竜巻予測法の開発高橋 暢宏情報通信研究機構 電磁波計測研究所 室長
13:30 ~ 13:50洪水・浸水予測の高精度化と活用川崎 将生国土交通省 国土技術政策総合研究所 水循環研究室 室長
13:50 ~ 14:10MPフェーズドアレイレーダの利用方法岩波 越防災科学技術研究所 水・土砂防災研究ユニット ユニット長
14:10 ~ 14:30鉄道におけるハザードマップ作成手法と運転規制判断支援システムの開発太田 岳洋鉄道総合技術研究所 防災技術研究部 部長
14:30 ~ 15:10災害情報の配信技術の研究開発熊谷 博情報通信研究機構 耐災害ICT研究センター 副センター長
15:10 ~ 15:30休息  
15:30 ~ 15:50火山観測における航空機SAR浦塚 清峰情報通信研究機構 電磁波計測研究所 統括
15:50 ~ 16:10航空機搭載SARの実用化に向けた取り組みについて村田 稔日本電気株式会社 電波・誘導事業部 主席技師長
16:10 ~ 16:30気象研究所における火山研究 -火山現象のメカニズム解明と噴火予測に向けて-横山 博文気象庁 気象研究所 火山研究部 部長
16:30 ~ 16:35閉会挨拶富田 二三彦情報通信研究機構 理事
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