「福岡から診る大気環境」研究所紹介

アジア地域の経済発展は、人為的な大気環境変動を引き起こし、社会問題化している。「福岡から診る大気環境研究所」は、アジア大陸からの越境物質と日本における人為的な排出物質の混合が始まる福岡において、大気組成変動の観測、医学的調査、観測手段の開発を組織的に行い、大気組成変動とその健康影響の実態とプロセスを解明することを目的として設置された。

福岡大に整備した PM2.5 ライダーの紹介とその観測結果

昨年の冬に「大陸から飛来するPM2.5」の存在は広く認識されるに至った。一方で、福岡市の規模増大に伴い、市民生活に起因する様々な物質を大気中に放出してきた。これらエアロゾルの健康に与える影響を研究するため福岡大学に整備したPM2.5を観測するライダー装置の紹介し、その観測結果を発表する。

テラヘルツリモートセンシングによる大気の観測

テラヘルツ波によるリモートセンシングでは、雲、風、大気組成などを観測することができる。マイクロ波や紫外・可視・赤外等のセンサと比較して、観測対象が相補的であることや、観測できる高度域が異なるので、単独で、また他のセンサとの組合せによりこれまでにない大気観測を実現することができる。NICTで実施するテラヘルツの高感度検出器の開発や、大気観測の研究を紹介する。

PDF(講演資料:2.38 MB)

全球降水観測計画における二周波降水レーダ観測への期待

二周波降水レーダ(DPR : Dual-frequency Precipitation Radar)は世界の降水分布の正確な把握のため全球降水観測計画(GPM : Global Precipitation Measurement)における中心的な観測機器である。DPRを搭載したGPM主衛星により、弱い雨や雪を検出可能な35.5 GHz帯と強い雨を観測可能な13.6 GHz帯の同時観測により、雨雲の中の降水の3次元分布の把握や高精度の降水強度推定が可能となる。天気予報の精度向上や河川管理、洪水の予警報等のみならず、全世界的な気候変動の解明にも役立つことが期待される。

PDF(講演資料:5.6 MB)

気象レーダーを利用した災害の監視(竜巻から火山まで)

近年、竜巻などのシビア現象や火山噴火を気象レーダーで監視する技術が急速に進みつつある。気象レーダーによる竜巻(2013年7月23日調布市)親雲の観測事例及び桜島の爆発的噴火(2014年5月10日)の観測事例について紹介し、それらの共通点・相違点について考察する。

気象衛星で観測された2014年ケルート火山噴火の傘型噴煙

2014年2月13日に、インドネシア東部に位置するケルート火山が噴火した。現在運用中の静止気象衛星(ひまわり6号及びひまわり7号)において、その噴煙を鮮明にとらえており、噴煙の形状や到達高度を見積もることができたので、その事例を紹介する。

PDF(講演資料:1.76 MB)

桜島噴煙レーダ観測計画と観測結果の紹介

定量的降灰量推定手法の開発と降灰分布予測の高度化を目的として、活発な噴火活動を続ける桜島を対象に、2014年4月から6月にかけて研究用Kaバンドレーダドップラー、偏光ライダー、現業XバンドMPレーダ観測および地上の降灰量観測をおこなった。講演では初期解析結果から見えてきた気象レーダの可能性と今後の展望について議論する。

火山観測における航空機SAR

NICTが開発したPi-SAR2は最近の活動として2013年の桜島の噴火および2014年御嶽山の噴火において観測とデータの迅速な配信を行った。これらの緊急的な観測から見えてきた火山噴火に際しての航空機SARの役割や課題について考察する。

PDF(講演資料:2.89 MB)

航空機搭載SARの実用化に向けた取り組みについて

総務省では、Pi-SAR2を防災関係機関が保有するセスナやヘリコプター等の小型航空機にも搭載可能にするための研究開発を実施している。本年度は研究開発の最終年度にあたり、試作機によるフライト実証を実施しており、これまでの成果について報告する。

PDF(講演資料:2.25 MB)

UAVを用いた大気微粒子観測 これまでの観測とこれからの展開

対流圏高度から成層圏エアロゾル上部境界領域動態の直接観測のため、UAVの利用が研究されている。本発表では、気球分離式小型無人航空機・カイトプレーンによるエアロゾル観測等これまでのUAVを用いた大気微粒子観測について紹介するとともに、これからの展開について紹介する。

小型無人飛行機の開発と南極・デセプション島での空中磁気観測

小型UAVを開発し、連続飛行距離1,108 ㎞、最高高度5,700 mの飛行を実現した。このUAVを用い国内外で地磁気や気象観測を行ってきた。2011-12年にかけて、南極半島周辺で地磁気観測等をUAVで行った。その結果、南極のDeception島の磁気異常やリビングストン島にあるSouth Bayの氷河構造等を明らかにした。そしてUAVは安全で費用対効果の大きな航空機観測が可能なことを実証した。

PDF(講演資料:5.47 MB)

無人航空機(UAV)によるネットワーク孤立地域との中継技術

東日本大震災の教訓を受け、災害に強いワイヤレスネットワークの研究開発の一環として、ネットワーク上で孤立した地域において、小型無人航空機(UAS)を中継して外部との通信接続を迅速に確保するとともに現場の空撮映像等を災害対策本部等にリアルタイムで届ける無線中継システムの開発を行い、各地で実証実験を実施している。本発表では、検討の背景、UAS無線中継システム概要、実証実験の状況、今後の動向等について紹介する。

NICTの光衛星通信実験

NICT宇宙通信システム研究室では、衛星-地上間の光通信実験を研究テーマの主軸に掲げている。本発表では、これまでに実施した低軌道衛星との光通信実験の概要説明と、現在進行中および今後実施予定の超小型低軌道衛星との光通信実験について解説する。

PDF(講演資料:984 KB)

開催日時

10月24日(金)午前9時30分から午後4時40分

開催場所

福岡大学 中央図書館 多目的ホール1・2

〒814-0180 福岡市城南区七隈八丁目19-1

交通案内http://www.fukuoka-u.ac.jp/help/map/map.pdf?20150515を参照ください。

福岡大学へは、地下鉄七隈線(橋本行き)の「福大前」駅下車(「天神南」駅から「福大前」駅までの所要時間16分)。または「博多駅前A」バス停から「福大前」バス停まで(所要時間約40分)。

福岡大学へのアクセス
http://www.fukuoka-u.ac.jp/help/map/
福岡大学学内地図
http://www.fukuoka-u.ac.jp/aboutus/facilities/big_map.html
中央図書館多目的ホール
http://www.lib.fukuoka-u.ac.jp/use/navi/chuou/floor/index.php

福岡大学ロゴ

講演会プログラム

 9:30 ~ 10:00研究所ツアーI  
10:00 ~ 10:05主催者挨拶林 政彦福岡大学 理学部地球圏科学科 教授
10:05 ~ 10:10来賓挨拶  
10:10 ~ 10:35「福岡から診る大気環境」研究所紹介林 政彦福岡大学 理学部地球圏科学科 教授
10:35 ~ 11:05福岡大に整備した PM2.5 ライダーの紹介とその観測結果白石 浩一福岡大学 理学部地球圏科学科 助教
11:05 ~ 11:20テラヘルツリモートセンシングによる大気の観測落合 啓情報通信研究機構 電磁波計測研究所 室長
11:20 ~ 11:40全球降水観測計画における二周波降水レーダ観測への期待井口 俊夫情報通信研究機構 電磁波計測研究所 所長
11:40 ~ 12:10昼食  
12:10 ~ 12:40研究所ツアーII/UAV説明会  
12:40 ~ 13:10気象レーダーを利用した災害の監視(竜巻から火山まで)佐藤 英一気象庁 気象研究所 火山研究部第二研究室 研究官
13:10 ~ 13:40気象衛星で観測された2014年ケルート火山噴火の傘型噴煙石井 憲介気象庁 気象研究所 火山研究部第二研究室 研究官
13:40 ~ 14:10桜島噴煙レーダ観測計画と観測結果の紹介眞木 雅之鹿児島大学 地域防災教育研究センター 特任教授
14:10 ~ 14:30火山観測における航空機SAR浦塚 清峰情報通信研究機構 電磁波計測研究所 統括
14:30 ~ 14:50航空機搭載SARの実用化に向けた取り組みについて林 秀郎総務省 情報通信国際戦略局 技術政策課 研究推進室 専門職
14:50 ~ 15:00休息  
15:00 ~ 15:20UAVを用いた大気微粒子観測 これまでの観測とこれからの展開林 政彦福岡大学 理学部地球圏科学科 教授
15:20 ~ 16:00小型無人飛行機の開発と南極・デセプション島での空中磁気観測船木 實元国立極地研究所 助教授
16:00 ~ 16:20無人航空機(UAV)によるネットワーク孤立地域との中継技術三浦 龍情報通信研究機構 ワイヤレスネットワーク研究所 ディペンダブルワイヤレス研究室 室長
16:20 ~ 16:35NICTの光衛星通信実験布施 哲治情報通信研究機構 ワイヤレスネットワーク研究所 宇宙通信システム研究室 主任研究員
16:35 ~ 16:40閉会挨拶横山 博文気象庁 気象研究所 火山研究部 部長

◆ 会場では無人航空機(観測用および無線中継用)を展示します。

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