医療のICT化と災害対策

医療のICT化は急速に進展しつつあります。とくに無線通信の活用は患者情報の入力と参照を「いつでもどこでも」可能にし、迅速かつ確実な情報の集約と共有を可能にしました。厚生労働省が進める「地域包括ケア」システムの構築においてもICTの活用は必須です。
一方でICT化はコンピュータとネットワークの整備と災害対策の重要性を伴います。サーバの設置、ケーブルの敷設、無線通信の設置における問題点など、これまで医療ではさほど重要視されてこなかった施設設備面の考慮が必要です。
本講演は医療ICTの現状を紹介すると共に、病院情報システムの運用上必要な設備と防災対策、医療での無線通信の安心安全な活用に向けた「手引き」について解説します。

AIを活用した救急電話相談自動応答システムの紹介

埼玉県では、救急医療体制の充実を目的として、急な病気やケガによる対処方法の相談や医療機関の案内を受けられる救急電話相談を実施しております。
救急電話相談の相談件数は年間約15万件に及んでおり、これらの救急電話相談を相談員である看護師が利用者毎に緊急度や医療機関への受診の必要性などをアドバイスしています。
今回埼玉県が導入する「AI救急相談自動応答システム」は、NECの最先端AI技術である「テキスト含意認識技術」を活用した「NEC 自動応答」を用いてスマートフォン等からいつでも相談できるチャット形式による救急相談の自動応答サービスを提供します。
本講演では導入の背景、システム概要についてお話しさせて頂きます。

地域の自助・共助・公助を目指してAI技術を活用

災害時には、住民がSNS(Twitter等)を通じて、時々刻々と変化する情報を発信しています。その情報は臨場感・即時性を有する貴重な情報源であると言えますが、その反面、情報過多、信頼性等の見極めが困難などの新たな課題があり、人的リソースが切迫する災害時においては、現場の負担増となります。
そこで、AI技術の一種である自然言語処理を災害対応に取り入れ、住民がSNSにて発信した情報を自動で解析し、時間が無い中でも効率的かつ迅速に関係機関に連携する仕組みを研究開発しています。
また、AI防災訓練にて自然言語処理に関する実証を行っており、本講演ではその取り組み事例やAI活用の有効性等をご紹介します。

災害時の情報共有と利活用 ~「SIP4D」および「ISUT」の取り組み~

災害時の対応を迅速・的確に行う上で、「情報」は重要な役割を果たします。同時並行で活動する組織同士で「情報」を共有し、情報を的確に利活用するために、技術開発として「府省庁連携防災情報共有システム(SIP4D)」、社会的な仕組みとして「災害時情報集約支援チーム(ISUT)」の構築を進めています。平成30年に発生した自然災害での適用事例まじえつつ取り組み状況を紹介します。

SIP「防災」での成果と実利用の推進 ~移動式ICTユニットの研究開発の取り組み~

NTTは、東日本大震災を契機として、総務省の支援を受け大規模災害時に通信の即時回復を可能とする移動式ICTユニットを開発しました。現在、SIP「レジリエントな防災・減災機能の強化」において、自治体様ニーズ等を踏まえた改良や機能の高度化に取組んでいます。移動式ICTユニットは、大規模災害時に、被災地に搬入・設置することで、避難所などのスポットを短時間でWi-Fiエリア化し、通話やデータ通信の機能を提供可能なシステムです。移動式ICTユニットの概要と、国内自治体、フィリピン台風被災地での実証実験など社会実装に向けた活動を紹介すると共に、府省庁連携防災情報共有システム(SIP4D)との連携等、最近の研究開発の取り組みを紹介します。

開催日時

2019年2月8日(金)午後1時00分から4時45分

開催場所

パシフィコ横浜 アネックスホール F205

〒220-0012 横浜市西区みなとみらい1-1-1

交通案内http://www.pacifico.co.jp/visitor/accessmap.html

みなとみらい線
「みなとみらい」駅より徒歩3分
JR線・市営地下鉄
「桜木町」駅より徒歩12分、バスで7分、タクシーで5分

開催趣旨

頻発する大震災の経験を踏まえ、今後想定される巨大地震や大規模災害時における医療に貢献可能な情報通信技術等について、最新の技術動向や活用事例を各分野の専門家からご紹介いただきます。

国立研究開発法人情報通信研究機構

講演会プログラム

13:00 ~ 13:10開会挨拶松島 裕一次世代安心・安全ICTフォーラム 会長
13:10 ~ 14:10医療のICT化と災害対策花田 英輔佐賀大学 理工学部 知能情報システム学科 教授
14:10 ~ 14:40AIを活用した救急電話相談自動応答システムの紹介横川 純一日本電気株式会社 医療ソリューション事業部 第一ソリューション部 部長
14:40 ~ 15:10地域の自助・共助・公助を目指してAI技術を活用田中 厚志アビームコンサルティング株式会社 P&T Digital ビジネスユニット マネージャー
15:10 ~ 15:20休憩  
15:20 ~ 16:00災害時の情報共有と利活用 ~「SIP4D」および「ISUT」の取り組み~田口 仁国立研究開発法人防災科学技術研究所 総合防災情報センター 主任研究員
16:00 ~ 16:40SIP「防災」での成果と実利用の推進 ~移動式ICTユニットの研究開発の取り組み~小田部 悟士NTT未来ねっと研究所 主幹研究員
16:40 ~ 16:45閉会挨拶  
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