主催:次世代安心・安全ICTフォーラム、けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会
2012年に完成したXバンドフェーズドアレイドップラー気象レーダは、電子走査方式を用いることによって、観測に要する時間を従来に比して飛躍的に向上、世界最高の性能を実現しました。その後、様々な社会実験やプロジェクトが立ち上がり、数多くの成果が得られつつあります。本講演では、レーダの研究開発から様々な取り組みを紹介し、今後の展望を述べます。
局地的豪雨の発生を事前検知し水防活動の円滑化を図ることを目的に、大阪大学に設置しているフェーズドアレイ気象レーダの観測情報を活用した豪雨検知システムの実証実験を実施し、自治体と協力した水防活動の試行を実施しました。その結果と今後の課題や展望について、現在開発中の二重偏波フェーズドアレイ気象レーダの概要も交えてご紹介いたします。
日本無線では独自にフェーズドアレイ気象レーダの試作機を開発し、千葉市内に設置ました。2015年の夏より試験観測を実施し、都市部に局地的豪雨をもたらす積乱雲の発生メカニズムの解明に取り組んでいます。今回の発表では、開発した気象レーダの概要ともに、2016年の夏季に観測した東京湾周辺の局地的豪雨の事例を紹介します。
局地的大雨や竜巻等突風は短時間で発生し、深刻な災害をもたらす現象です。それらのメカニズムを解明し、その兆候をいち早く捉えるためには、目まぐるしく変容する親雲を高速に立体的に観測することが必要です。気象研究所では、近年に開発されたフェーズドアレイレーダーを用いてこの課題に取り組んでいます。その成果と展望についてお話します。
竜巻や局地的大雨など顕著現象の研究が、フェーズドアレイレーダーの観測により進められています。一方で、このような顕著現象をもたらす積乱雲は一般的に激しい雷活動を伴うため、雷活動と顕著現象の関連についても研究が進められています。本発表では雷観測機器の開発について紹介し、顕著現象と関連の深い上昇気流と雷活動の関連について研究結果を示します。
MPフェーズドアレイ気象レーダのデータを活用する立場から、鉛直積算雨水量:VILを用いた10~20分先の大雨ナウキャスト、スーパーセルあるいは竜巻の警戒指標候補となるストームレラティブヘリシティ(SReH)の算出、デュアルドップラー観測と熱力学リトリーバルによって求めた温位偏差のデータ同化による積乱雲の発達予測における期待を述べます。
フェーズドアレイ気象レーダを活用した、スマートフォンアプリ「3D雨雲ウォッチ~フェーズドアレイレーダ~」を開発し、2016年で実証実験2年目が終了しました。いち早いPUSH通知とリアルタイムの3D雨雲レーダを搭載した本アプリの利用者が、これまで以上にゲ豪雨への危機感を持ち、回避行動につなげる事を目的としています。本講演では、2年間の実験概要と結果を紹介させていただきます。
NICTでは、神戸(NICT未来ICT研究所)と大阪(大阪大学)に設置されている2台のフェーズドアレイ気象レーダを用いたゲリラ豪雨早期探知システムを開発しました。今回の発表では、ゲリラ豪雨早期探知システムの概要と今年度から神戸市で実施している実証実験について紹介します。
2016年12月22日(木)13:00 ~ 16:30
SYDホール
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ケ谷4-25-2 修養団SYDビル
交通案内:http://www.syd.or.jp/hall-access.html
JR山手線・中央本線「代々木駅」西口より徒歩5分
豪雨や竜巻による災害が多発する状況下、最新の気象レーダの開発や気象予測技術の研究開発が活発に実施されています。
そこで、本講演会では、最新気象レーダ観測による防災・減災と気象レーダによる社会イノベーションを目指した研究開発に関するご講演をいただき、関係者間の相互連携を進め、また、専門家でない方にも研究開発の現状と課題をご理解いただくことを目的とします。
13:00 ~ 13:05 | 開会挨拶 | 福地 一 | 次世代安心・安全ICTフォーラム 会長 |
13:05 ~ 13:10 | 来賓挨拶 | 越後 和徳 | 総務省 情報通信国際戦略局 技術政策課 研究推進室 室長 |
13:10 ~ 13:50 | 基調講演「フェーズドアレイ気象レーダが拓く今後の防災」 | 牛尾 知雄 | 大阪大学 |
13:50 ~ 14:10 | フェーズトアレイ気象レーダの開発と水防活動への利活用 | 水谷 文彦 | 株式会社東芝 |
14:10 ~ 14:30 | 千葉に設置したフェーズドアレイ気象レーダの概要と東京湾周辺の局地的豪雨の観測結果 | 柏柳 太郎 | 日本無線株式会社 |
14:30 ~ 14:50 | フェーズドアレイレーダーを用いた激しい風雨をもたらす大気現象の研究 | 足立 透 | 気象庁気象研究所 |
14:50 ~ 15:10 | 3次元雷放電観測装置の開発と顕著現象予測への応用 | 吉田 智 | 気象庁気象研究所 |
15:10 ~ 15:25 | 休憩 | ||
15:25 ~ 15:45 | MPフェーズドアレイ気象レーダの気象予測への活用方法 | 岩波 越 | 防災科学技術研究所 |
15:45 ~ 16:05 | スマートフォンアプリ『3D雨雲ウォッチ~フェーズドアレイレーダ~』での2年目の実証実験を終えて | 小池 佳奈 | 株式会社エムティーアイ |
16:05 ~ 16:25 | 神戸市におけるフェーズドアレイ気象レーダを用いたゲリラ豪雨対策支援システムの実証実験について | 中川 勝広 | 情報通信研究機構 |
16:25 ~ 16:30 | 閉会挨拶 | 牛尾 知雄 | けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会 |